音楽CDのリッピングと音質

HOME > 音楽CDのリッピングと音質

はじめに

  1. CD再生よりPCオーディオのほうがCDを正確に読むから音が良い。
  2. Exact Audio Copyなどで高精度なリッピングをすると音が良い。

よく目にしますね。本当でしょうか?

いいえ、間違いです。
音が良い悪いの判断は人によって違うのでここでは触れませんが、理由が間違っています。

  1. CDプレーヤーは音楽CDを正確に読んでいる。
  2. PCで音楽CDをリッピングする時、特別なことをしなくても、正確に読んでいる。

これが正解です。
デジタルオーディオでは、正確に読めるのが当たり前で、正確に読めない場合はなんらかのトラブルが発生していると思っていいでしょう。

では、なぜ、こう(最初の2行)言われるのでしょうか?
それは、オーディオ経験の浅さと無知から来ています。「聴いて音が違うのだから、悪いほうは正確に読めていないに違いない」という思い込みです。「デジタル的には同じでも音が違って聴こえることがある」とは、露ほども思っていません(笑)。

確かに、CDプレーヤーとPCオーディオで音の傾向は異なります。でも、データ的になんら違いはありません。
同様の現象は、デジタルケーブル、高精度クロック、音楽CDのコピーに使用するCD-Rメディア、PCオーディオでの再生ソフト、などなどでも起きますし、これこそがデジタルオーディオの肝とも言えるのですが、経験の浅い方の手には余るのでしょう。

以下に確認方法などを記しますので、なんならお試し下さい。

(デジタル的な)確認の実例

1、リッピングが正確に行われていることを確認する

良いと言われるドライブと廉価なドライブ、
良いと言われるリッピングソフトと普通のソフト、
それぞれで確認します。

2、CD再生が正確に行われていることを確認する

CDプレーヤーのデジタル出力をデジタル録音して、リッピングしたWAVと比較します。

3、音楽CDの読み込みエラーとエラー訂正の実際

案外誤解が多いので、実例を交えて簡単に解説します。

倉木麻衣の「Perfect Crime」 なお、ここでのエラー測定や正確な読み込みの確認の資料は、倉木麻衣の「Perfect Crime」を使って作成しました。もちろん、これに限らずともいいのですが、追試される場合は、以下のようなCDは避けたほうが良いと思います。

・AccurateRipのデータベースになさそうなマイナーなCD(笑)
・曲間に無音時間がないライブCDのようなCD(オフセットのため)

ちょっと拘り

ダメージディスクのリッピング

少々の傷や汚れは問題ありませんが、酷い傷や汚れなどがあって著しく状態が良くないCDでは、その部分が正確に読めないことがあります。こういったCDをなるべく正確にリッピングしようとするのが「セキュアなリッピング」です。もちろん、普通のCDには必要ありません。

オフセットによるずれ

音楽CDを読む時、「ドライブによって読み始める位置が微妙にずれている」という問題があります。CD-DAはCD-ROMと違い、アドレス情報がないためだそうです。このずれをオフセットと言います。
このため、人が気付かないようなごく短時間ですが、音声が抜けたり、他のトラックの音声が入って来る恐れがあります。厳密なリッピングを行いたい場合は気をつけましょう(オフセットはCDプレーヤーにもありますよね。たぶん 笑)。

最後に

筆者は、リッピング時のデジタル的な正確さにはさほどこだわっていません。いままで見てきたように、それは当たり前のことだからです。

その当たり前が、いかにも当たり前でないように言いふらされたのは、デジタル・オーディオの経験不足と無知のなせる業でしょう。PCオーディオのほうが音が良いことにしたい人達によって、音楽CDのエラー訂正の抜け道、「修復できない時は補間する」は格好の言い訳に使われました。実際にはほとんど発生しないにも関わらず、のべつくまなしに発生しているかのように喧伝されたのです。

オーディオにデマが多いのは困ったものですが、これも、オーディオは学問ではなく商売であるからかも知れません。CD-DAのエラー訂正について、ごく基本的な知識もないオーディオ店が沢山あるようです(例えば、EFM変調を暗号化と呼ぶような・・ 笑)。

一方、デジタル的に同じでも再生音が異なることがあるのはリッピングでも同様です。
リッピングの諸条件の違いによって、デジタル的な違いはありませんが、再生音が違ったりします。なので、筆者もこっちは少しこだわったりします。

しかし、(リッピングにこだわり過ぎてもしかたないかな?)とも思っています。リッピングが最終目的地ではないからです。再生されるまでの間、ずっとそこで保存されたり、他の場所にコピーされたりしていくのですが、この間に音も変化していきます。記録される媒体や記録位置などによっても違います。基本的なことであるにもかかわらず、デジタル信仰のためでしょうか(笑)、これらはほとんど話題になりません。
このあたりの筆者の考えは、筆者が実際に聴くとをご覧ください。


juubee's おぼえがき © by juubee アドレス画像 作成 2013/10/16 最終更新 2017/12/19