音楽CDの読み込みエラーとエラー訂正の実際

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はじめに

勘違いされている方がいらっしゃるので、一応最初に確認します。

  1. 「エラーが訂正される」とは、「元と同じデータに復元される」ことを指します。
    元と違うデータになってしまう、のではありません(笑)。

  2. 誰かが「CDの読み込みエラーはめったに発生しない」と仰っている場合、本当の読み込みエラーではなく、読み込みエラーを訂正できなかった場合を指していると思われます。読み込みエラーがないCDなんて、実際には、まずないですから(笑)。

エラー訂正の仕組み

音楽CD(CD-DA)でもデータCD(CD-ROM)でも、HDDでもメモリーでも、読み込みの際に、読めないところが出てきます。読み込みエラーです。デジタルではこれは初めから想定済で、記録する時に、実際のデータの他に元通り復元するためのデータを添えて記録します。読み込み時にエラーが発生したら、これを使って元通りに復元します。これがエラー訂正です。

音楽CDでも、CIRC(Cross Interleaved Reed-Solomon Code)というエラー訂正の仕組みがあります。C1段階とC2段階の、主に2段階のエラー訂正があり、これでも訂正できない場合は、前後から計算して穴埋めします。これを補間といいます。

データCDやHDDやメモリーの場合、データが正確なことが最優先ですから、訂正できなかった場合は処理を停止してしまうのが普通です。100万円の貯金が知らない間に1円に化けてはいけませんよね(笑)。停止しては困るのでエラー訂正の仕組みも厳重です。
音楽CDの場合は、音楽を途切れさせないことが優先されるので、訂正の仕組みはゆるく、訂正できなくても補間を行って(つまり、適当に?)再生を続行します。尤も、補間もできないほど酷い場合は、停止したり、次の曲にスキップしたりしますが・・(笑)。

ただし、実際には、補間や補間を超えることは滅多にありません。通常の音楽CDや音楽CD-Rであれば、読み込みエラーは元と同じデータに完全に復元されると言っていいでしょう。訂正の仕組みはゆるくても、必要にして十分で、実際上の問題はほとんどないと言っていいでしょう。
音楽CDのエラー訂正がHDDなどと比べてゆるいことを理由に、PCオーディオよりCDPの音は悪いと仰る方がいますが、実態を何もご存じないのでしょう。

なお、PCでのリッピングでも、CDPでの再生と同じく、Redbook準拠で読むしかありません。リッピングでもCDP再生でも、エラー訂正の仕組みは同じです。CD-DAはCD-DAとして読むしかありません。パソコンならCD-ROMとして読むことができると考えるのは幻想です(笑)。

実際

PlextoolsProfessional XLでエラーレートを測定した画像 音楽CDの読み込みエラーを測定した例です。

測定環境
光学ドライブ:Premium2
測定ソフト:PlextoolsProfessinal XL

測定ソフト日本語版のマニュアルです。P79-80によれば、各々の数字は以下のようです。
C1は、C1段階で計測されたすべてのエラー数
C2は、C2段階で2バイトのエラーを訂正した数
CUは、C2段階でも訂正できなかった数

CDの記録域に万遍なく(時には多く)エラーが発生しているのがわかりますが、CUが0ですから、補間はなく、エラーはすべて訂正されたこともわかります。

AccurateRipでは、リッピングが正確に行われたかどうか(または、データベースに無かったか 笑)、しかわかりませんが、エラーを測定すれば、エラーの程度や発生個所など、詳しく知ることができます。

やってみればわかりますが、ほとんどのCDのCUは0です。つまり、エラーはあってもすべて訂正され、元と同じデータに復元されます。

ただ、最近は、エラーを測定できる環境がほとんどなくなってしまいましたね。使えるのはたいてい古いドライブです。詳しくは、しあにんさんのTIPSをご覧下さい(これも古い内容ですが・・)。


juubee's おぼえがき © by juubee アドレス画像 作成 2013/10/16