自然農法をやってみる

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定年が近くなってから始めました

山村なので畑はあります。親が老齢で引退したので引き継ぎました。趣味には十分すぎる広さです。分家で、田はありません。毎日勤務先まで30kmを車で往復する身なので、あまり手間はかけられません。そこで自然農法をやってみることにしました。年老いて体力がなくなってもできる方法を意識しています。

基本的な育て方

普通と同じように、畝を作って野菜を育てます。普通と違うのは、野草を使って土を育てるところです。
山野に近い状態で行う自然農法もありますが、現在行っている人はあまりいないでしょう。筆者もやりません。あくまで栽培ですから。

  1. 野草は、野菜の邪魔にならない限り、生やしておきます。
  2. 刈った野草は、野菜の株元に敷きます(草マルチ)。
  3. 畝は作り直さないでそのまま使います。
  4. 農薬・化成肥料は使いません。有機肥料は適度に使います。

種を蒔く、苗を植える

1週間前、または当日に、対象場所の野草を地際から刈るだけの準備です。

育てる

周囲の野草は地際から刈ります。野菜がある程度大きくなったら、小さい野草は放置します。少し離れた野草は10から20cmの高さで残して勢いを削ぐぐらいに留めたりもします。刈った野草は野菜周辺に置きます。

肥料

必要性を感じたら、畝に撒きます。ただ、有機肥料は効果が出てくるのが遅いので、手遅れなら諦めます(笑)。

いちおうこういうことなんじゃないかと

植物と土壌生物の力で土を耕し、土を育てる

野菜も野草も、植物の根は土を割って入っていきます。枯れれば、やがて土壌生物に分解されて養分になり、やがて堆肥になり、そのうち土になります。根が空いた通路は水や空気の通り道になります。刈って畝や通路に敷いた草も、地表に近いところから土壌生物によって次第に分解されます。土壌生物自体も排泄物や死骸が分解されます。野山の自然な生物循環を畑で(なるべく)再現し、土を育てます。

影を作って土壌生物を守る

土壌生物のほとんどは好気性で、主に地表に近いところに棲んでいます。植物や草マルチで影を作ると、急激な温度変化や土の乾燥や紫外線などを和らげ、土壌生物が棲みやすい環境を作ります。恐らく、地表から10cm程の層が、土壌生物が活発に活動する畑で最も重要なエリアではないかと思います。

その結果

以下のようになります。

畑で暮らす生き物が圧倒的に増える

秋に鳴く虫の声を聞けばわかります(笑)。野草も増えます。土壌生物も多分増えてると思います。草がない他の畑が砂漠に見えて仕方ありません(笑)。

土を耕さなくてよい

土の表面はサクサクに、深くなるに従って次第に締まる、という土になります。むしろ、土壌生物の生活環境や、せっかく作ってくれた団粒構造を破壊してしまうので耕すのを控えています。一度作った畝を補修しながら長く使います。
じゃがいも、さつまいも、長ネギなど、地面を大きく掘る作物は専用畝にしています。

丁寧に除草しなくてよい

小さい頃から野草は常に身近な友達でしたから、この安心感はとても大きいです。

ただし、草ボウボウでは作物が育ちませんので、作物の邪魔にならない程度に、見苦しくない程度に、コントロールします。
確かに、野草は作物と競合します。地上では光を、地中では根域を奪い合います。でも、人が手助けして作物優位にコントロールすれば野草は大した邪魔になりません。短期的には作物の養分を多少横取りしますが、長い目で見れば畑を豊かにしてくれています。

大量に草刈りするのは、夏野菜を植える前、梅雨明け、秋野菜の種蒔き前、です。手で刈ると大変なので、最近は草刈り機で刈ってます。

堆肥を入れなくても土が育つ

堆肥のように大量に持ち込むのは難しいですが、畑の土の中と上で直接堆肥を作っているようなものです。土に混入する手間はありません。生の有機物ですから、堆肥と違い、分解の初期段階から土壌生物を飼う餌になります。
刈敷く野草の量が足りない時は、近くの山野から調達してきます。

虫害が少なくなる(たぶん、病害も)

虫は増えますが、虫害は逆に少なくなります。最初の頃にはあった幼芽のネキリムシ被害もなくなりました。生き物が多く棲むようになって、生き物のバランスが良くなってきたのだと思います。

よく、草は害虫と病気を呼び込むなどと言われますが、それは野草が1本もない人工的な色合いが強い畑でのことではないでしょうか。畑に野菜しかないなら、草食の虫は野菜を食べるしかありませんし、天敵も少ないと思われます。

いろいろ

育て方の違い

同じようでいて、慣行農法とは若干異なります。
慣行農法は、農薬や化成肥料を多めに使ってでも最大の収穫をあげるのを目標にします。そのために整枝法があり摘果法があります。自然農法では野菜本来の生育を大切にしますから、養分少な目で整枝は控えめ、根の成長を重視して初期の摘果は多めになるかと思います。

種の選定

昔ながらの品種である固定種や在来種を中心に選んでいます。無肥料や少肥でも、交配種(F1)がそれほど育てにくいとも思いませんけど(笑)。

種の自家採取

野菜から種を採り次回の種にすることです。昔から行われてきた当たり前とも言える方法ですが、今ではほとんど廃れています。

自家採取を続けている世界一トマトの種です。

自家受粉して完熟果を食べるトマトなんかは簡単ですが、交雑しやすいアブラナ科などは、交雑を防ぐ仕掛けも必要ですし、種が弱らないよう近親交配?を避けるためには株数も必要らしいです。どうやら、育てているすべての野菜を自家採取するのは個人レベルでは無理っぽいですね。

興味ある方は、F1、固定種、などのキーワードでググッてみて下さい。

肥料

植物系有機肥料を適度に使います。米ぬかと油粕が多いです。ぼかしたりもします。家畜系の肥料は使いません。肥料を使わない野菜も多いです。

気になるのは、その中身です。
米糠は精米機を時々巡って無料でいただいていますので、当然ながら、農薬が使われているでしょう。
油粕はホームセンターで購入しています。ということは、アメリカで除草剤とセットで栽培された遺伝子組み換え作物の絞りカスでしょうし、最近は油を薬品で搾り取るらしいので、その薬品も残っているでしょう。
スッキリしないですが、さりとて拘るとなかなか大変なので、とりあえず、あまり気にしないことにしています (^^;;

最近、米糠を地表に撒いて、「これは土壌生物の餌として撒いているのだから、肥料ではない。我々は無肥料栽培だ。」などと仰る方もいらっしゃいます。確かに土壌生物の餌なのですが、そんなこと言うなら有機肥料すべてがそうですし、一般には受け入れ難いのではないかと思います。無肥料栽培という「看板」に拘ることはないのになぁ、と思います。

虫害の例外

虫が多くなっても虫害は減ったのですが、その例外が、アブラナ科野菜です。
長い間(と言っても4年ですが)アブラナ科だけ様子が異なるのが不思議でした。他の野菜はなんともないのに、アブラナ科だけ虫に食べられるのです。そして一つの結論に達しました。憶測に過ぎませんが、本来は寒い時期の栽培に適している野菜を暑い時期から栽培するために、野菜が弱いのではないでしょうか。実際、当地では10月以降に種を蒔けば、小松菜なども虫にはほとんど食べられません(虫が少なくなってくる時期でもありますが・・笑)。
そう考えたので、年内に大きくしたい時は、ネットを張ることにしました。

農薬は使いません

これは親の代からやってます。
正しく使えば健康には問題ないと言いますが、それは人間のことしか考えていないと思います。農薬は確実に畑の生物を殺します。うちの畑に棲んでいる土壌生物も含めて広く環境のことを考えないと、いづれは人間にも災いが降りかかるんじゃないでしょうか。
病気が出た時なんか、(農薬を使ったら)と思う時もありましたが、今のところ、なんとかなっています。消毒済みの種を買ってしまっても、わざわざ買いなおしたりしませんけどね(笑)。

水やり

ほぼ必要ありません。日照りが続いた時だけですね。土の表層は柔らかいですが、深くなるに従って締まってきて、毛細管現象で水が上がってきます。耕運機で耕すと空気が入ってフカフカになりますが、乾きやすいのではないでしょうか。

お薦めしたい方、そうでない方

  • 野草や虫が嫌いな方にはお薦めできません(笑)。
     → 野草の中にゴロッと寝転んで横目で蟻が歩くのを見ながらぼんやり青空を眺めていたい筆者のような方に向いています。

  • 几帳面で世話焼きで見事な野菜を沢山収穫したい方にはお薦めできません(笑)。
     → そこそこの世話でそこそこの収穫があればいいと思う筆者のようなのんびり屋さんに向いています。

    畑の紹介

    畑その1

    家の前、60坪ほど
    隣家を解体した跡地。南側は家、西側は山なので、陽当たりはあまり良くない。南を山の湧水が流れているので水分には困らない場所が多いが、地下水位が高く粘土質。

    ほんの玄関先なので、(オクラやきゅうりなど)毎朝見回ることもできるし、採ってすぐ食べられたりして、とても有難い。

    畑その2

    集落の畑団地の一角。3箇所計80坪ほどの耕作放棄地があったが、そのうちの2箇所計60坪ほどを防草シートを剥がして畑に戻した。家から500mほど離れているので、ジャガイモやかぼちゃなど、手入れが少なくて済む野菜をメインに育てている。

    周囲に遮るものは何もないので陽当たりが良い。除草をあまりしないが、周囲の畑は防草シートで覆われていたり草ボウボウになっていたりするので、あまり迷惑にはなっていないはず(最近は田舎でも、野菜を作る人は少なくなる一方だから)。逆に、防草シートを敷いているお隣さんが、境界に除草剤をまくことがあり、困っている。

    いのししの害がひどくなってきたので、獣害用のワーヤーメッシュで囲んだ。

    参考にしている本

    1. これならできる!自然菜園―耕さず草を生やして共育ち (あくまで一例だが、)基本に詳しい。
      竹内孝功 著

    2. 誰でも簡単にできる! 川口由一の自然農教室 標準本として。
      新井由己、鏡山悦子 著、川口由一 監修
      監修者が主宰している赤目自然塾

    3. 固定種野菜の種と育て方
      野口 勲 、関野 幸生 共著
      種屋さんである野口氏の種にかける愛情と、農家である関谷氏が無肥料栽培を続ける情熱がひしひしと感じられます。

    ともあれ

    野菜を育てているだけで楽しいです (^^ゞ
    極めるには人生の残り時間が足りない・・(笑)。

    変わったことを始めたのに止めろとも言わず、出来が悪いと励ましてくれ、良いと褒めてくれ、暖かく見守ってくれる妻に感謝します。
    自分でもやりたさそうなんですが、時間が取れないのと、筆者が熱心なのでかえって手を出しにくそうなんですよね (^^;;
    なので、収穫専門になってます(笑)。

    ここ山間部は雪も積もりますし、秋は日照時間が少ないので、同じ北陸といえど、平地に比べると大きなハンデがあるようにも感じています(雪がない地方が羨ましいかも 笑)。


    juubee's おぼえがき © by juubee アドレス画像 作成 2014/5/19 最終更新 2019/4/4