自然農法をやってみる

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60才に近くなってから始めました

山村なので畑はあります。親が老齢で引退したので引き継ぎました。趣味には十分すぎる広さです。分家(わかるかなぁ?)ということもあり、田はありません。毎日勤務先まで30kmを車で往復する身なので、あまり手間はかけられません。そこで自然農法をやってみることにしました。

工場のようなことはしたくない、ってこともあります。化成肥料や農薬を使って育てる畑って、工場みたいでしょ。材料を投入して製品が出来上がってくるみたいな・・。土はただ地上部を支えるためだけにあるみたいな・・。
そうじゃないですよね。農作物も自らの力で生きようとしますし、土には沢山の生き物が棲んでいて農作物と共生している、そんな命溢れる畑にしたかったんです。そうでなきゃ楽しくない、って(笑)。

年老いて体力がなくなってもできる方法を意識しています。それが限界集落に近い地域のためにもなるんじゃないかと(ま、最近は昔と違い、野菜を作る人はめっきり減ってしまい、耕作放棄地が多いですが・・) (^^ゞ

現在の方法

自然農法も細かくみるといろんなやり方がありますが、筆者の場合、現在の自然農法としてはわりと一般的な、野草を活用する方法です。

植物の根と土壌生物の力で土を耕す

植物の根は土を割って入っていきます。養分を求める根は地表近くに、水分を求める根は地下深く入っていきます。枯れれば、根はやがて土壌生物によって分解されて、空いた通路は水や空気の通り道になります。土壌生物の活動は、土の団粒構造を生み出します。

植物と土壌生物の力で土を育てる

枯れた植物の根は、土壌生物によって分解されて養分になり、やがて堆肥になり、そのうち土になります。刈って畝や通路に敷いた草も、地表に近いところから次第に分解されて、同様の経過をたどります。また、土壌生物自体も粘液や死骸が分解されて、同様の経過をたどります。野山の自然な生物循環を畑で再現していることになります。

影を作って土壌生物を守る

土壌生物のほとんどは好気性で、主に地表に近いところに棲んでいます。生えている植物や刈って敷いた植物で影を作ると、急激な温度変化や土の乾燥や紫外線などを和らげ、土壌生物が棲みやすい環境を作ります。恐らく、地表から10cm程の層が、土壌生物が活発に活動する畑で最も重要なエリアではないかと思います。

その結果

土を耕さなくてよい

土の表面はサクサクに、深くなるに従って次第に締まる、という土になりますので、耕す必要は無くなります。むしろ、土壌生物の生活環境や、せっかく作ってくれた団粒構造を破壊してしまうので、控えるべきです。従って、一度作った畝を補修しながら長く使います。

じゃがいも、さつまいも、長ネギなど、地面を大きく掘る作物は専用畝にしています。

丁寧に除草しなくてよい

いままで述べて来たように、野草は大切で有用なお友達です。だから、なるべく生やしておきます。そして、野草達に癒されます。

ただし、草ボウボウでは作物が育ちませんので、作物の邪魔にならない程度に、見苦しくない程度に、コントロールします。
確かに、短期的には、野草は作物と競合します。地上では光を、地中では根域を奪い合います。それが生存競争です。でも、人が手助けして作物優位になるようにコントロールすれば野草は邪魔になりません。そして、様々な恵みをもたらしてくれるのです。

堆肥を入れなくても土が育つ

良い土とは、土壌生物が多く活発に活動する土、その結果出来上がる団粒構造が発達した土です。

生の有機物は、分解の初期段階から土壌生物を飼う餌になります。他所で作って、土壌生物による分解があらかた終わった時点で畑に持ち込む堆肥とは異なる点です。堆肥は土に混ぜることを前提としているので、混ぜてすぐ栽培を開始しても無害になるまで分解(いわゆる完熟)させなければならないのでしょう。

虫害が少なくなる(たぶん、病害も)

虫は圧倒的に増えます。虫達の動きを見ているだけで面白いです。

虫害は逆に少なくなります。最初の頃にはあった幼芽のネキリムシ被害もなくなりました。蟻の巣が多くなったのか、掘り当ててしまい噛まれることが多くなりました(ま、可愛いものですが・・)。

お薦めしたい方、そうでない方

  • 野草や虫が多くなるので、嫌いな方にはお薦めできません(笑)。
     → 野草の中にゴロッと寝転んで横目で蟻が歩くのを見ながらぼんやり青空を眺めていたい筆者のような方に向いています。

  • 几帳面で世話焼きで見事な野菜を沢山収穫したい方にはお薦めできません(笑)。
     → そこそこの世話でそこそこの収穫があればいいと思う筆者のようなのんびり屋さんに向いています。

    いろいろ

    育て方の違い

    同じようでいて、慣行農法とは若干異なります。
    安易に水や肥料を与えないので、初期のうちは根張りが主で地上部の成長は遅れます。そのかわり強く長く育つんじゃないかと思います。

    慣行農法は、農薬や化成肥料を使って最大の収穫をあげるのを目標にします。そのために整枝法があり摘果法がありますが、自然農法では野菜本来の生育を大切にします。養分少な目なので整枝は控えめですし、根の成長を重視して初期の摘果は多めになるかと思います。

    種の選定

    野菜は長い間人間に飼いならされてきた、いわば植物のペットです。化成肥料を前提とした品種や養分の多い土で栽培された種は、養分の少ない土地では育ち難いこともあるようです。昔ながらの品種である固定種や在来種を中心に選んでいます。

    種の自家採取

    野菜から種を採り次回の種にすることです。昔から行われてきた当たり前とも言える方法ですが、今ではほとんど廃れています。

    自家採取を続けている世界一トマトの種です。

    自家受粉して完熟果を食べるトマトなんかは簡単ですが、交雑しやすいアブラナ科などは、交雑を防ぐ仕掛けも必要ですし、種が弱らないよう近親交配?を避けるためには株数も必要らしいです。どうやら、育てているすべての野菜を自家採取するのは個人レベルでは無理っぽいですね。

    興味ある方は、F1、固定種、などのキーワードでググッてみて下さい。

    肥料を使う時は植物性有機質肥料

    養分供給には主に野草を利用するのであまり使わないですが、米ぬかと油粕が主体です。家畜系の肥料は使いません。

    気になるのは、その中身です。
    米糠は精米機を時々巡って無料でいただいていますので、当然ながら、農薬が使われているでしょう。
    油粕はホームセンターで購入しています。ということは、アメリカで除草剤とセットで栽培された遺伝子組み換え作物の絞りカスでしょうし、最近は油を薬品で搾り取るらしいので、その薬品も残っているでしょう。
    スッキリしないですが、さりとて拘るとなかなか大変なので、とりあえず、あまり気にしないことにしています (^^;;

    最近、米糠を地表に撒いて、「これは土壌生物の餌として撒いているのだから、肥料ではない。我々は無肥料栽培だ。」などと仰る方もいるのですが、一般には受け入れ難いのではないかと思います。無肥料栽培という「看板」に拘ることはないのになぁ、と思います。

    虫害の例外

    虫が多くなっても虫害は減ったのですが、その例外が、アブラナ科野菜です。
    長い間(と言っても4年ですが)アブラナ科だけ様子が異なるのが不思議でした。他の野菜はなんともないのに、アブラナ科だけ虫に食べられるのです。そして一つの結論に達しました。憶測に過ぎませんが、本来は寒い時期の栽培に適している野菜を暑い時期から栽培するために、野菜が弱いのではないでしょうか。実際、当地では10月以降に種を蒔けば、小松菜なども虫にはほとんど食べられません(虫が少なくなってくる時期でもありますが・・笑)。
    そう考えたので、年内に大きくしたい時は、ネットを張ることにしました。

    農薬は使いません

    これは親の代からやってます。
    正しく使えば人間の健康には問題ないと言いますが、それは人間のことしか考えていません。農薬は確実に畑の生物を殺します。うちの畑に棲んでいる土壌生物も含めて広く環境のことを考えないと、いづれは人間にも災いが降りかかるんじゃないでしょうか。
    病気が出た時なんか、(農薬を使ったら)と思う時もありましたが、今のところ、なんとかなっています。消毒済みの種を買ってしまっても、わざわざ買いなおしたりはしませんけどね(笑)。

    水やり

    ほぼ必要ありません。土の表層は柔らかいですが、深くなるに従って締まってきて、毛細管現象で水が上がってきます。慣行農法のように耕すと空気が入ってフカフカになりますが、乾きやすいのではないでしょうか。

    畑の紹介

    畑その1

    家の前、60坪ほど
    隣家を解体した跡地。南側は家、西側は山なので、陽当たりはあまり良くない。南を山の湧水が流れているので水分には困らない場所が多いが、地下水位が高く粘土質。

    ほんの玄関先なので、(オクラやきゅうりなど)毎朝見回ることもできるし、採ってすぐ食べられたりして、とても有難い。

    畑その2

    集落の畑団地の一角。3箇所計80坪ほどの耕作放棄地があったが、そのうちの2箇所計60坪ほどを防草シートを剥がして畑に戻した。家から500mほど離れているので、ジャガイモやかぼちゃなど、手入れが少なくて済む野菜をメインに育てている。

    周囲に遮るものは何もないので陽当たりが良い。除草をあまりしないが、周囲の畑は防草シートで覆われていたり草ボウボウになっていたりするので、あまり迷惑にはなっていないはず(最近は田舎でも、野菜を作る人は少なくなる一方だから)。逆に、防草シートを敷いているお隣さんが、境界に除草剤をまくことがあり、困っている。

    いのししの害がひどくなってきたので、獣害用のワーヤーメッシュで囲んだ。

    参考にしている本

    1. これならできる!自然菜園―耕さず草を生やして共育ち (あくまで一例だが、)基本に詳しい。
      竹内孝功 著

    2. 誰でも簡単にできる! 川口由一の自然農教室 標準本として。
      新井由己、鏡山悦子 著、川口由一 監修
      監修者が主宰している赤目自然塾

    3. 固定種野菜の種と育て方
      野口 勲 、関野 幸生 共著
      種屋さんである野口氏の種にかける愛情と、農家である関谷氏が無肥料栽培を続ける情熱がひしひしと感じられます。

    ともあれ

    野菜を育てているだけで楽しいです (^^ゞ
    極めるには人生の残り時間が足りない・・(笑)。

    変わったことを始めたのに止めろとも言わず、出来が悪いと励ましてくれ、良いと褒めてくれ、暖かく見守ってくれる妻に感謝します。
    自分でもやりたさそうなんですが、時間が取れないのと、筆者が熱心なのでかえって手を出しにくそうなんですよね (^^;;
    なので、収穫専門になってます(笑)。

    ここ山間部は雪も積もりますし、秋は日照時間が少ないので、同じ北陸といえど、平地に比べると大きなハンデがあるようにも感じています(雪がない地方が羨ましいかも 笑)。


    juubee's おぼえがき © by juubee アドレス画像 作成 2014/5/19 最終更新 2019/4/4