音楽CDとHDDの再生音の違いを探ってみる--- MOでマーク・ポジション記録とマーク・エッジ記録を比較 ---
まずはご注意!
以下、知識に乏しい筆者がなるべくボロを出さないように解説していたりもしますが、至らない点が多々ありそうなので、識者の方はぜひご指摘をお願い致します。また、記録方式について有用なページがあれば、是非ご紹介下さい。
音楽CDを再生する音と、いわゆるPCオーディオなどHDDやメモリー上のファイルを再生する音で、音質傾向が異なっているのは誰もが指摘するところです。筆者は「音のクセ」と言っていますが、共同通信社季刊のPCオーディオfan2では「音のたたずまい」などという洒落た表現をされたりもしています。
筆者は大きな意味で再生環境の違いがこの音の違いを生み出すと考えていますが、CDとHDDでは再生の仕組みが異なっているので、そもそもユーザーレベルで解明できるものではないと思っていました。
このところ注目していたのはデジタルの記録方式です。デジタルでは0と1を記録するだけですが、最終的なビットの認識には、(たぶん)以下の2種類の方式があります。
- マーク・ポジション記録(または、ピット・ポジション記録、または、マーク間変調 )
- マーク・エッジ記録(または、ピット・エッジ記録、または、マーク長変調 )
- は、読んだ時の0と1をそのまま採用する方式
- は、変化があったら1、変化がなかったら0、とする方式
図にしてみました (^^;;
マーク・エッジ記録ではエッジが1と認識されます。線記録密度は上がるようですが、マーク・ポジション記録よりもエッジに高度なコントロールが必要で、それだけに脆い方式と言えそうです。
HDDは1のマーク・ポジション記録方式、CDやDVDは2のマーク・エッジ記録方式のようです。どのメディアがどの方式を採っているのか、はっきりして欲しいところです(笑)が、筆者にはあまり明確なページが見つけられませんでした。
[ITPro] さんのページ
[ Orange Forum ] さんのページ
[ しあにんなお昼ごはん ] さん のページ
[ TDK ] さんのpdf
[ 三菱化学メディア ] さんのページ
じゃあ、その2つの方式の違いで音質を比較したいところですが、CD再生とHDD再生では環境が違いすぎて記録方式以外の要素も多いですから、音に違いがあっても原因の特定は困難です。なので、比較は半ば諦めていました。
ところが、です。
Wikipediaの光磁気ディスクの項を御覧下さい。これに拠れば、3.5インチメディアの640MB未満はマーク・ポジション記録、640MB以上はマーク・エッジ記録のようです。容量が違えば、記録方式以外にも違いがありそうですが、CDとHDDの違いからみれば、あまりないと言えそうです。
MOドライブやメディアはかつて持っていましたが、今はもう手元にありません。それでも非常に興味あるポイントですから、手配して試聴しました。
試聴
方法
- あらかじめリッピングしてあったWAVEファイルを、128MBと230MBと640MBのメディアにコピーする。
- 128MBと230MBと640MBのメディア上のWAVEファイルを再生する。
という、説明するまでもないほどの方法です(笑)。
注意事項 (これもいまさら説明するまでもないかもしれないですが、MOに慣れない方のために)
- MOにコピーする際、画面上でコピーが終っても、ドライブはキャッシュ上のデータをまだ書き込んでいます。メディアを取り出すのは、動作中のランプが消えてからにしましょう。
以下、たいした再生環境でもありませんが・・。
試聴環境1
MOドライブ メディア CPU M/B SoundCard OS HeadPhone 再生ソフト |
FUJITSU M2513A(SCSI内蔵) SONY EDM-230CDF & EDM-640CDF Pentium3-500MHz ASUS CUBX-L 玄人志向 CMI8738-6CHLP Windows2000 SP3 & GeeXboX 1.0 SONY MDR-7506 WaveSpectra 1.40 (W2K) & GeeXboX 1.0 |
試聴環境2
MOドライブ メディア CPU M/B SoundCard OS HeadPhone 再生ソフト |
BUFFALO MO-P640U2(USB外付け:バスパワー)KONICA OMD-21060のOEM MAXELL MA-M230.WIN & MA-M640.WIN Core2Duo 8400E ASUS P5Q Roland UA-1EX WindowsXP SP3 SONY MDR-7506 foobar2000 1.0.1 (KS) |
結果
- 両環境共、128MB,230MBと640MBの音の違いは、HDDと音楽CDの音の違いに似ていました。128MBと230MBがHDDに、640MBが音楽CDに似ているように思います。
- 128MBメディアは230MBメディアより音が豊かでした。非常に魅力的に思われます。
128MBメディアと230MBメディアと640MBメディアの違い
主に以下のような違いがあるようです。
ディスク容量 光源の波長 対物レンズNA ビット長 トラックピッチ 回転制御方式 記録方式 |
128MB 780nm 0.53 1.04um 1.6um CAV マーク・ポジション |
230MB 780nm 0.55 1.00um 1.39um ZCAV マーク・ポジション |
640MB 685nm 0.55 0.49um 1.1um ZCAV マーク・エッジ |
この、〜光磁気記録に関する研究の4Pの表1-1から採っています。
[ um ]はマイクロメートルでお願いします。
それぞれの主な違いは、下記のようです。
128MBから230MB -- 回転制御方式がCAVからZCAVになった。
230MBから640MB -- 光源の波長が短くなった、記録方式がマーク・エッジになった。
いずれも、記録密度を高めるためですね。
「MOフォーラム」なるものが、関係メーカーで設立されたはずですが、2010年3月に活動終了したようです (^^;;
まとめ
- 記録方式の違いは、HDDとCDの再生音が違う原因のひとつになっている可能性が高いと思われます。
- 今回は、メディアから直接?再生するタイプの再生ソフトを使用していますが、一旦メモリーに蓄えるタイプのソフトだと結果が違ってくるかもしれません。このあたりはまだ経験不足です (^^;;
- HDDなど現在マーク・ポジション記録のメディアが記憶容量アップのためにマーク・エッジ記録に移行してしまうと、ファイル再生の良さが失われてしまう恐れがあります。
- どのメディアがどの記録方式を採っているのか、良いページをご存知の方、是非教えて下さい。
- とはいえ、実は筆者の勘違いでした、などというオチもありえますから、興味ある方はお試し下さい(笑)。