シンプルな安定化電源を作る
最初に
こんなページを作るといかにも電子回路に詳しそうに見えてしまいますが、全然そんなことはありません(笑)。過程を紹介するというコンセプトに従い、電源を自作する取り組みを紹介していますが、危険なことをしているかも知れないし、誤ったことを書いているかも知れません。くれぐれもご注意下さるよう、強くお願い致します。
ディスクリートの電源と言っても、ディスクリートはパワー素子だけで、制御はICを使うことが多いようです。先に使った723は、基準電源,誤差増幅,小出力のレギュレーター、電流制限、の4つを内包したICで簡単に使うことができました。まだまだ不勉強なのですが、他に電源専用のICもあるようですし、汎用のオペアンプも良いみたいです。DACで人気の「お気楽オーディオキット資料館」さんではいろんなタイプの電源を見ることができます(そのまま、または僅かな変更で、Rドライブにも使えそうです)。
オペアンプでもいいような気もしますが、前回の僅かな経験から、半導体が少ない方が音が良さそうですし、シンプルなものに魅力を感じる性格?、ということで、制御部もディスクリートでシンプルに作ってみることにしました。
< 参考 >
「定本 トランジスタ回路の設計」CQ出版
電子回路で遊ぼう!
ブレッドボードラジオ
なひたふ電子
おきらくオーディオキット資料館
5V電源 その1
Aout [A] | 0A | 0.1A | 0.5A | 0.9A | 2.9A | 5.0A | 6.3A |
---|---|---|---|---|---|---|---|
Vin [V] | 15.2 | 14.6 | 13.9 | 13.6 | 12.6 | 11.8 | 11.6 |
Vout [V] | 5.09 | 4.97 | 4.83 | 4.77 | 4.55 | 4.33 | 4.24 |
V1 [V] | 8.07 | 8.61 | 8.83 | 8.93 | 9.02 | 9.05 | 9.06 |
V2 [V] | 3.79 | 3.70 | 3.61 | 3.56 | 3.40 | 3.25 | 3.19 |
V3 [V] | 3.16 | 3.07 | 2.98 | 2.94 | 2.79 | 2.64 | 2.59 |
A1 [mA] | 6.99 | 5.88 | 5.08 | 4.55 | 3.53 | 2.71 | 2.5 |
A2 [mA] | 0.04 | 0.03 | 0.02 | 0.02 | 0.02 | 0.01 | 0.01 |
閉回路というか、出力電圧をフィードバックするタイプ中、最もシンプルなものです。検討をせず、見当で上のように組んでみました。パワー素子は前回からの流れでPower MOS-FET 2SK2847を使いました。基板だけの回路図です。入力側には723電源と同じく、トランスや整流用のダイオードや電解コンがあり、出力側には(いままで書いてきませんでしたが ^^;;)Serafin11000uFに小さいコンデンサを2つパラってあります。
無負荷で出力電圧(Vout)を5V付近に合わせた後、負荷で電流値を変えながら、各地点を測定しました。Aoutはテスター付属のクランプで直読、A1、A2はその地点に10オームの抵抗を入れて両端の電圧から求めています。あまり下のほうの値は参考になりません(笑)。
安定化電源なのに安定していません(爆)。電流が多くなると電圧の低下がしだいに大きくなります。なんかいまいちですが、試しにCD-Rを焼いてみたところ、723を使った電源よりクリアな音でした。1ランク上というべきでしょう。苦労のし甲斐はありそうです。
焼き専環境の負荷はだいたい一定なので、なんとか使えないことはないような気もしますが(笑)、このままではあまりにあまりなので、もう少しお勉強することにします(^^ゞ
5V電源 その2
Aout [A] | 0A | 1.1A | 3.1A | 5.1A | 7.0A |
---|---|---|---|---|---|
Vin [V] | 14.9 | 13.8 | 12.8 | 12.0 | 11.6 |
Vout [V] | 5.00 | 4.96 | 4.92 | 4.89 | 4.84 |
V1 [V] | 8.32 | 9.13 | 9.41 | 9.56 | 9.79 |
V2 [V] | 3.85 | 3.85 | 3.82 | 3.80 | 3.77 |
V3 [V] | 3.22 | 3.20 | 3.19 | 3.17 | 3.15 |
A1 [mA] | 1.53 | 1.05 | 0.77 | 0.59 | 0.41 |
A3 [mA] | 17.7 | 17.6 | 17.4 | 17.3 | 17.1 |
ツェナー | RD3.6F |
TR | 2SC1815 |
R1 | 5k |
R2 | 100 |
VR | 5k |
C1 | 1000uF |
C2,C3 | 10uF |
前に比べ、電圧の変動がだいぶ小さくなっています。
ツェナー電圧を安定させるため、ツェナー電流があまり変化しないように、R2を追加してある程度のベース電流を流しています。一方、R1、VRでMOS-FETの制御電流をある程度絞っています。パワー素子がTRだと、TRのベースにも出力に見合った電流が必要のはずですが、FETは電圧制御ということで、制御しやすいのかもしれません。もっとも、カット&トライ優先なので、値にあまり自信があるわけじゃありません(^^;;
データシートを見て意外だったんですが、ツェナーって言っても、定電圧じゃないんですね。5V出力ということで、この回路では4.3Vぐらいまでのツェナーしか使えないわけですが、このあたりのツェナーは電流で電圧がだいぶ変動するようです。温度係数のこともありますし、基準電圧にこだわるなら、ICを使ったほうがいいかも知れませんね(早くもくじけた? 笑)。
Aout [A] | 0.0A | 1.1A | 3.1A | 5.1A | 7.1A |
---|---|---|---|---|---|
Vin [V] | 14.5 | 13.4 | 12.5 | 11.8 | 11.4 |
Vout [V] | 5.00 | 4.99 | 4.96 | 4.93 | 4.89 |
V1 [V] | 8.52 | 9.19 | 9.48 | 9.65 | 9.90 |
V2 [V] | 4.21 | 4.19 | 4.17 | 4.15 | 4.12 |
V3 [V] | 3.57 | 3.56 | 3.55 | 3.54 | 3.52 |
A1 [mA] | 1.20 | 0.83 | 0.60 | 0.43 | 0.28 |
A3 [mA] | 48.2 | 47.7 | 47.3 | 47.0 | 46.3 |
ツェナー | RD3.6F |
TR | 2SC1815 |
R1 | 5k |
R2 | 30 |
VR | 5k |
C1 | 1000uF |
C2,C3 | 10uF |
左は、R2を30オームにして、ツェナーのベース電流をだいぶ増やした場合です。電圧の変動はさらに小さくなっています。1Wのツェナーなのでまだ余裕はあるはずですが、やりすぎでしょうか? 大雑把にはこんなところですかね。