ドライブにリニア電源を使う
一歩間違えればドライブやPCを壊してしまうかも知れません。最悪の場合、感電や火事の危険もあります。試される場合、くれぐれも自己責任ということでお願いします。
CD-R(W)ドライブの電源として、いわゆるSUNケースやオウルテックの4ベイケース付属の電源を使っていました。電源フィルターを入れて、だいぶ良くなったのですが、いま一歩物足らないものが残りました。
そんな時、目にしたのが「リニア電源はいいよ」の言葉、初め、何だろうと思っていたんですが、なんのことはない、でかいトランスやコンデンサーを使った昔からの電源ですね。電源が大事なことはそれまででよくわかってましたし、なんとかしようと思いました。お世話になった皆様、その節はどうも有難うございました。
リニアと一口に言いますが、WEB上ではいろんな言い方があって、戸惑いました。困るのは電源メーカーのサイトを見てもリニア電源なのかスイッチング電源なのかよくわからない場合があることです。ま、そんな時は大抵スイッチング電源です(笑)。
いろんな選択肢があります
1、完成品、またはその中古を使う。
これが一番簡単です。電源出力からドライブに繋ぐだけです。ただし、大きな容量のものが多いので、図体もだいぶでかくなることが多いです。5/12Vの2出力のものか、単出力を組み合わせます。新品は高価です。中古か、小出力がいいでしょう。
2、3端子レギュレーターというICを使って自作する。
ICを使うので、部品点数が少なく作りやすいです。キットも販売されているので、利用すると便利です。
3、ICを使わず、ディスクリートで自作する。
ようわかってません(^^;; 部品屋さんに、「オーディオに使える3端子レギュレーターなんてない!」とまで言われたので、本当はこちらが良いのかも知れません。いづれ、作ってみたいです。
3端子(シリーズ)レギュレーターを使い、自前で部品を集めることにしました。
よくわかっている方から見れば、工作といえない程の簡単さのためか、素人の役にたちそうなページがなかなかありません。その中で、SQUILLAさんのHPが大変参考になりました。AU系4デジタル1のところに詳しい製作記事があります。回路だけでなく部品や注意点まで詳しく解説されていて、大変助かりました。筆者が質問したためか、その後新たな解説も加えられて、大変充実しています。詳しい製作方法はそちらでお願いします(^^;;
ただし、CD-ROMドライブを対象にしてるので、容量をもう少しアップした方が良いかも知れません。
以下は筆者の現在の構成です。普通のトランスですがセンタータップに見立てた全波整流で、レギュレーター周りの逆流は考慮していません(手抜きというか、音質優先というか・・)。
電源1 | 電源2 | |
---|---|---|
内部 | ||
トランス | 05V 豊電 HT123 12V/3A 12V 豊電 HT243 24V/3A |
05V 野口 16V/5A 12V 野口 30V/5A |
整流ダイオード | 05V サンケン ショットキーバリアダイオード RK44 12V 同上 |
05V 日本インター ショットキーバリアダイオードRCH10A15 12V 同上 |
平滑コンデンサー | 05V 日ケミ ??? 16V/22000uF 12V 日ケミ NegativeBlack 35V/10000uF |
05V 日ケミ NegativeBlack 35V/22000uF 12V 日ケミ NegativeBlack 35V/22000uF |
3端子レギュレーター | 05V Motorola 78T05CT 12V Motorola 78T12CT |
05V LinearTechnology LT1085CT-5 12V LinearTechnology LT1085CT-12 |
レギュレーター入力側パスコン | 05V 日ケミ 積層セラミック 10uF 12V 同上 |
05V 日ケミ 積層セラミック 10uF 12V 同上 |
レギュレーター出力側コンデンサー | 05V BlackGateNX 1000uF*1 I.T.Electronic ポリプロピレンコン1uF*1 12V 同上 |
05V BlackGateNX 1000uF*4 SANYO OSコンSG 20uF*1 I.T.Electronic ポリプロピレンコン 0.1uF*1 12V 同上 |
備考 | かなりラフに作ってます。出力側Cが少ないですねぇ。 | 部品交換が容易なようにブロック毎に分かれています。 ために無駄に図体がでかいです。試作中のため、合板ベース(^^ゞ |
素人の観点から、いくつかポイントを挙げてみます。
1、3端子レギュレーターの背面。
背面がG同士ならそんなに問題にならないのですが、出力になってると気をつけないといけません。ケースなど同じベースに取り付けると、5Vと12V、もしかすると12VとGなどが短絡するので大変危険です。筆者はこれでICを1つダメにしました。
2、トランスのアンペア
全波整流の場合、常時可能なアンペアとなると、トランス表示の60%ぐらいみたいです。ドライブ用なら3Aトランスで十分と思います。
実際にCDU920Sの書込時のAを測定してみましたが、5V側 ave/maxが 0.72/0.77A、12V側が 0.36/1.16A(maxは回転開始時)でした。
3、平滑コンデンサーの容量
どの位あれば良いのでしょう。筆者は電子工作の実験室の「電子回路設計の基礎」を参考に、決定しています。
キットだと少ないことが多いので、増やした方が良いでしょう。
4、レギュレーター周り(ここが肝だと思ってます。)
・入力電圧
必要以上に高くしないことです。あまり高いと発熱が多くなりますし、極端な場合はノイズの原因になります。
・レギュICの取り付け
間に挟むものでコロコロ音が変わります。マイカ板を挟めばハイ上がりでビリつき、ゴムを挟めばドロンとし、銅板を挟めば柔らかく中低域が太く、といった具合です。現在はオーソドックスにシリコングリスをつけただけで、アルミヒートシンクやアルミケースに留めています。
・パスコン
小さな部品ですが、非常に大事です。なるべく良質のものにしないと、音がてきめんに濁ってきます。すぐ近くにつける必要があるため、あまり大きなものが使えないのも辛いです。
・3端子レギュレーターIC
LinearTechnology製が良いとの話もあるのですが、キャラとの相談ですね。
5、出力側コンデンサー
最後の仕上げですね。BlackGate使ってますが、普通、ここまでかけなくても・・と思います。いろいろ試しましたが、安い電解コンのほうが無難だとは思います。
6、突入電流(ラッシュカレント)
問題になることがあるようです。ドライブを壊した話も聞いています。でも、筆者のところでは、入力側はある程度あるものの、出力側には出てないようです。長い間使ってますが、問題ありません。
キットの場合、平滑コンデンサー容量が小さいので、大きなトランスを使った場合、吸収しきれないのでは?と思います。たぶん・・(^^;;
7、エージング
かなりかかるように思います。自信はないですが、平滑コンデンサーかトランスが一番長くかかるような・・。2〜4週間ぐらいですかねぇ。
部品数が少ないので、作ること自体はそんなに大変ではありません。音に不満がある場合でも、1ヶ月ぐらい経ってから部品変更を考えるくらいで良いのでは?、と思います。
音質
あくまで比較の問題ですが、スイッチング電源では曖昧だった音像が、くっきりと実体を見せるようになります。
ただし、必ずしも好みの音にはならないところが、悩ましいです。ま、それが自作の楽しみでもあるわけですが・・(^^ゞ
その後 やっぱディスクリートだね!!(2004/8/18)
パワートランジスタ使用の市販電源と3端子レギュレーターを使った自作電源とやっと比較できました。やはり、ディスクリートは格が違います。おお!オーディオだぁ、って音になってきます。米が混じったビールと麦芽100%ビールみたいにキレが違います(笑)。
というわけで、当時、一生懸命作った電源ですが、今は現役を退き、FANの電源として余生を過ごしています。これもFANレスディスクリート電源を作ると用無しになる予定です。